『お母さん大変です!猫拾ってきちゃいました! 猫騒動から学ぶこどもの心理』
子育ては、想定外の出来事の繰り返し。小学生の母だった著者は、猫が苦手なのに猫を飼うことになり、やがては息子と友だちが引き起こした子猫保護騒動に巻き込まれていく。「友だちの母」としての「私」が、こどもたちと一緒に奮闘したエピソードを通して、いつの時代も変わらないギャングエイジ(小3~4)のこどもの心理を読み解いていく。大人になった彼らとの17年越しの答え合わせは、こどもの成長とは何かを問いかける。
<目次>
序章:猫が苦手な母、猫を飼う
第一章:お母さん大変です!事件は突然やってくる
1.動物病院に電話する?しない?
2.学校に電話する?しない?
3.ヤナギくんの家に電話する?しない?
解説・ギャングエイジと大人の関係
第二章:みんなで目的をひとつに
1.目的は子猫に飼い主を与えること
2.学校ではヒーローに?
3.こどもに伝えたい、責任の取り方
解説・ギャングエイジは「今」しか生きていない
第三章:子猫の引き取り手が見つかった
1.餅は餅屋 里親を見つけてきたのは院長先生
2.最後のけじめは安堵とともに
3.マユミ先生のガチ道徳授業
解説・ギャングエイジ、そしてファンタジーから現実へ
終章:17年後の答え合わせ
1.ヤナギくんの真実
2.マユミ先生の真実
3.次男の真実
解説:ギャングエイジの真実
一匹の子猫を巡り繰り広げられた、心温まる小さな事件を、いつか何らかの形で発表できたらと思っていました。小学生のお子さんの心理を知りたいおかあさんに読んでいただけたらと思います。こどもが小学生ともなると、親の目も届かないことが多くなりますが、そんな中で、ときにこどもたちは想定外の事件を巻き起こします。ある日突然、子猫保護騒動に巻き込まれた「友だちの母」としての「私」が、戸惑いながらもこどもたちと一緒に猫の里親探しに奮闘した約三週間の物語です。
関係する大人たちの協力を得ながらこどもたちと格闘した中で、ギャングエイジと呼ばれる年代のこどもの心理は、いつの時代も変わらないことを、改めて思い知ることになりました。
それにしても、いつも大人はこどもにとってはた迷惑な存在でもあるようです。「今」を生きるこどもと「未来」を考える大人との、意外なすれ違いは17年の時を経て明らかになります。それは、ファンタジーの世界から現実へと目覚める思春期直前のこどもの心理を垣間見る貴重な機会でもありました。子育てが難しくなった時代の今、少しでもこどもの心を感じ、その関わり方のヒントにしていただければと思います。
自分が培ってきた人生経験を必要としてくれる人が、必ずどこかにいること、それを上手に伝えるにはノウハウがいること、この二つが揃ったときに、読者に届く本が書けるのだと学びました。それは、どこまでも思考をシンプルにしていく作業であり、一つの大きな心理ワークのようなものでもありました。その作業につきあってくれるスクールの仲間や整理を手伝ってくれるメンターの存在がとても大きいです。情報の時代、一人で本を出版する方法はいろいろあるでしょう。でも、同じ目的を持つ仲間がいることが、とても大きな力になります。
田中 にゃむ
田中にゃむ(たなか にゃむ)
心理カウンセラー/イラストレーター
こどもの発達心理・子育て・発達障害を得意とする。
東京都立川高等保育学院卒.。
ビジョンダイナミックス研究所トレーナーズトレーニング・カウンセラーコース修了。
地元情報紙で13年にわたり、子育て4コマまんが「としごファミリー」を連載。
育児サロンの再建に参加。三年間で一日平均約20組の母子が参加する人気の場所にし、のべ3000人以上のママたちと子育ての悩みに関わる。
2013年より6年にわたり、市民講座「おかあさんのための思春期講座」を企画開催。
<経歴>
1960年東京生まれ。中学教師と保育士の家庭に育つ。小学校の事務員を経て結婚、としごの息子二人を育てる。その後は、児童館、学童保育、子育てサロンなどに勤務。その中で、子どもを取り巻く現場の脆弱さに危機感を抱く。私生活では、子育てを巡り自分の生育歴の問題に気づき、ビジョン心理学に出逢う。それをきっかけに、20年にわたり心理トレーニングやカウンセリングスキルを学びながら、カウンセラーとしても活動。教育者としての親の背中と、親としての親の背中の矛盾に向き合う中で、真の教育、子育てとは何かを探究している。乳幼児期から思春期までの教育・子育て・子育て支援という、こどもに関わる三つの現場すべてに携わってきた経験値と、心理学の知識・スキルを生かし、市民講座「おかあさんのための思春期講座」を企画開催。受講した、のべ100人以上の母親と関わり、多くの親子関係の修復、思春期のこどもと母親自身の成長に貢献する。著書『としごファミリー』(私家版)