「繊細さん」と言われるHighly Sensitive Person(以下、HSP)看護師は、敏感な感受性で観察力に優れ高い共感力を持つことから、患者さんに思いやりのあるケアができ看護師として能力を発揮される方も多くいます。
一方で、医療現場は患者さんの急変など生命の危機につながる緊迫感のある刺激にあふれていて疲弊してしまいます。また医療現場は上司や同僚、他職種とチームで協同する複雑な人間関係への対応も求められます。HSP看護師は、スタッフとの関係においても相手の機嫌を敏感に感じ取り、気を遣い過ぎてしまいます。患者さんに思い入れ過ぎて仕事が終わってもずっと患者さんのことを考え気が休まらないことや、職場の人間関係が上手くいかないのは自分のせいかもしれないと自信を失くし、仕事を辞めていく人も多いです。
私は、HSP看護師歴18年で、繊細な気質ならではの感受性や思考によって職場の人間関係にずっと悩まされてきました。何度も看護師を辞めたいと思いながら、時には先輩や同僚に励まされたり、患者さんやご家族との出会いに勇気づけられて仕事を続けることができました。自分の得意な感性を生かし患者さんに寄り添う看護を自分らしく続けるためには、まずは自分自身を大切にできることが不可欠です。いつもスタッフの顔色を伺っていて、仕事中のちょっとしたストレスを感じたその瞬間に、自分を楽にすることを仕事の習慣に取り入れることが大切です。
本書では、HSPでも18年看護師を続けてきた経験から、仕事中手軽に自分を楽にする【おまじない】を紹介します。
本書で紹介する【おまじない】を使い、心が軽くなり職場の人間関係の悩みが解消される看護師さんが一人でも増えてほしいです。
最初は自分の本をたった半年で書き上げるというのは無理だろうと思っていました。スクール生はきっとライターさんや経験の豊富な方だろうと思っていましたが、実際には私と同じく初めて執筆される方ばかりでした。
出版スクールでは、執筆に必要な本の企画力をつけたり言語表現を豊かにするためのカリキュラムが整っており、スクールの課題を自分のペースで一つずつクリアする度に、自分がレベルアップしていることを実感しました。私は「自分が本を書くなんてきっと無駄だろう」と思い込んでいましたが、課題をクリアするというスモールステップの積み重ねと、同じような悩みを持ちながらも出版を経験された先輩方にいつも励まされて、見事にブレイクスルーできました。
本を書く前は誰かの思想や哲学を本から学ぶ立場でしたが、出版後は自分の思いを世界に届ける立場に変わり、自分が使う言葉の重みも変わりました。
出版経験を通してこれまでとは違う自信が湧きおこったり責任を感じたり、周囲から自分がどう見られるかも変化しました。自分が変わっていくのは不安もありますが、スクールでは多くの仲間と出会い、執筆することの悩みにいつも共感し乗り越えるためのアドバイスをくれました。一人では難しいことも同じ悩みを持つ仲間と一緒にがんばり乗り越えられた体験が一番の宝物になりました。
【本を出したことで起きた変化】
本を書くプロセスは、私自身が長年の悩みであった、「自分の本当の思いを言語化する」ことへの挑戦でした。幼少期の生育歴や環境、そしてHSP気質によって、「私自身の体験や思いを表現するなんておこがましい」「誰も私の意見なんか聞かないだろう」と思い込み、本を書いても無駄だという壁をいくつも作ってしまいました。その壁を乗り越える体験そのものが、自分の仕事に対する向き合い方や私自身の人生にも大きく影響しています。
今は看護師になる若い人を育てる教育の仕事をしていますが、看護の学問や職業としての厳しさだけではない、自分との向き合い方を学生と考え看護師としての精神性を養うことに貢献できることを誇りに思っています。
松うら えい子
松うら えい子(まつうらえいこ)
看護師、保健師、看護学修士
上級心理カウンセラー
HSPの看護師・介護職専門ブルーバードカウンセリングルーム代表
ボイスマルシェ相談員
<経歴>
1981年 北海道出身
北海道医療大学看護福祉学部看護学科卒業後、急性期病院、訪問看護、訪問診療と働く場を変え看護師歴18年目。著者自身が看護師として仕事にやりがいや生きがいを持ちながらも、転職する先々での職場の人間関係に悩み何度も看護師を辞める覚悟をした。30代で二人目の出産を機に退職し看護師という仕事を一度は離れるも、心理学を学びながら看護師を続けた。自身がHighly Sensitive Person(以下、HSP)であることが分かり、自分の感受性や思考の傾向性と向き合うことで職場の人間関係の長年の悩みを解消。現在は大学で教育に携わりながら、HSP専門のカウンセラーとして活動している。