私たちが運営する『VM出版スクール』は、自分の名前で仕事をする個人事業主やフリーランスの専門家さん向けの出版スクール&コミュニティです。
この記事では、VM出版スクールにおける原稿添削サービスでの気づきをまとめました。ライターや作家など、「文章を書く」ことが仕事のプロとは異なり、何らかの専門分野をもつ当スクールの受講生である専門家さんたちは、専門知識はあるものの文章執筆自体のプロではありません。ですので、この記事は「文章を書く」プロではない方にとっても、気づきがある内容だと思います。
目次
【AI添削】AIと人力のダブルチェック添削 VM出版スクール
VM出版スクールの原稿添削サービスを、私たちは通称「AI添削」と呼んでいます。「AI添削」は、最新の「AI」ツールと「人間による目視チェック」のダブルチェック。赤字修正量は、おおよそ文字数の1%程度。たとえば、2万文字であれば「200箇所」が赤字修正としてピックアップされるので、最初はほとんどの著者さんが驚かれます。ご自身の推敲では気が付けない箇所があるのです。AI添削を実施するうちに、該当する方が多い項目が分かってきました。その項目を、2023年現在「AI添削」を担当する一人である中村コーチがまとめてくれました。
以下、VM出版スクールの中村コーチによる気づきのシェアです。
AIを使った原稿添削の赤字箇所 トップ5
◇ここからの文章まとめ:
VM出版スクールの中村喜代美コーチ(これまでに添削した件数:27)
これまでにAI添削を実施した27本の原稿のうち約半分にあたる13本について、どのような内容でピックアップしたのかを調べてみたところ次のような内容でした。
<原稿添削の赤字箇所 トップ5>
1.1文に読点が4つ以上ある
2.同じ文末表現を3連続以上使用している
3.くだけた表現を使用している
4.1文が100文字以上ある
5.接続助詞「が」を逆説ではないところで使用している
AI原稿添削トップ5から考えられること
普段使っている「話し言葉」と文章として書く「書き言葉」の区別がついていないことが大きな原因と思われます。文体として、話し言葉を使い親しみやすくする手法も、もちろんあります。しかしそれは、「話し言葉」と「書き言葉」を区別できたうえでとり入れるものです。まずは今自分が書いているのがくだけた表現なのか、書き言葉なのかを知っておくことが大事です。
<例>
話し言葉「どんな内容なのか」→○書き言葉「どのような内容なのか」
話し言葉「どうしていいか分からない」→○書き言葉「どうしたらよいかが分からない」
話し言葉「Aみたいに」→○書き言葉「Aのように」
話し言葉「AじゃなくてB」→○書き言葉「AではなくB」
話し言葉「その時はしょうがなかった」→○書き言葉「その時は仕方がなかった」
話し言葉「お昼食べたあと家帰る」→○書き言葉「(主語)が昼食を食べたあとで家に帰る」
また、話し言葉の感覚のまま文章を書くと、どうしても表現が長く、読点でつないでしまいます。そうなると、1文に読点を4つ以上つけたり、100文字以上の長文になったりすると考えられます。
接続助詞の「が」の使い方も同様で、普段話している際にはそこまで意識して使っていないために、「が」を逆説ではない部分で使用していても気づかないのです。
対策―まずはこの3点を実行しよう
1.文章はシンプルに、読点は3つ程度におさめ、それ以上長くなりそうなときは2文にわける
2.読書を通して、話し言葉と書き言葉の違いを体感として身につける
3.書いたものを自分で音読してみる、あるいは周りの人に読んでもらう
もちろんこれだけでは限界があります。きちんと第三者の視点でチェックを受けてみて、自分の文章のクセを知り、意識して文章を書くように習慣づけることが大切であり、それが読み手にとってもやさしい文章を書くコツとなるでしょう。
まとめ―AI添削からの気づき 文章をもっと読みやすくするために
・「話し言葉」と「書き言葉」の区別
「話し言葉」と「書き言葉」の区別を意識すること。そして、原稿の向こうにいる「読み手」を意識すること。そのうえで、自分の文章を客観的にチェックできる機会を持ち、常に検証していくことが大切です。
・文章の長さ
1文に読点が4つ以上あると、文章が長くなりやすいです。そうすると「4.1文が100文字以上ある」にも該当します。並列表現として使うことももちろんあるので、読点が4つ以上ある文章はすべてダメではありませんが、意識して減らし、シンプルで読みやすい文章にしていきましょう。
・漢字が多すぎないように
またトップ5には入っておりませんが、最近はパソコンや音声入力で文章を作成することも多くなってきましたので、漢字の変換ミスや常用漢字表にはない表記が混じることも多いです。せっかくやさしく語りかけるような文体で書かれれているのに、漢字が多めで硬い印象になってしまうのは、大変残念に感じます。
また、1文が長くなればなるほど主語と述語のつながりが分かりにくくなります。主語はどれで、それを受ける述語がどれなのか、読み返す際はそこも意識しながら取り組みましょう。
・文末表現
文末表現については、同じ文末表現が続くとどうしても文章が単調になりがちです。書いた後からチェックしながら読み返すことで少しは防げるのではないでしょうか。本の原稿などの長文を書く際は、どうしても後半で疲れが出てきます。そのため、実際に書いている途中は、同じ文末になっているかどうか気づきにくいのでご注意ください。文末表現だけに意識を向けて読み直すなどの対策があるといいでしょう。
・くだけた表現
くだけた表現については、日常的に当たり前に使っている言葉のため、それがくだけた表現なのかどうかわかっていないことがほとんどです。自分の表現としてあえて使うこともありますので、難しく考えすぎず、機械的にピックアップしてもらい、使うか直すかを判断できるようにするのがおすすめです。
・逆説ではない「が」に注意
接続助詞の「が」を逆説ではない文章で使っていても、話し言葉で違和感を覚えることはほとんどありません。なのでうっかり書き言葉としても使ってしまいがちですし、多用する傾向のある人もいます。本来の言葉の役割をあらためて認識する機会を持つことで、間違った使い方をすることは減らせるでしょう。
言葉は生き物なので、正しい使い方は一つだけではありませんし、著者のカラーによっても変わります。
大切なのはこの3つです。
・最初から最後まで同じ文体、文調で統一すること。
・自分にはわかっても、相手にはわかりにくい文章にしないよう、注意を払うこと。
・第三者の目線でチェックを受けること。
これまで何本もAI添削をしてきた私ですら、自分の文章をAIツールでチェックすると複数の赤字修正箇所がピックアップされます。つまり、自分の文章に絶対の自信を持つことを目指すのではなく、いつでも必ずチェックしてから世に出すようにすればいいのです。
指摘された内容を素直に受け止め、自分らしさを残しつつ手直しできる人は文章力も伸びていきます。しかし、自分の書き方にこだわり、指摘に反発しているようだと、いくら頑張っても文章力は頭打ちになります。どうしても独りよがりの文章になりやすいので、読まれる本、読まれる文章を書くためには、よくあるチェックポイントを意識しつつ、毎回丁寧に添削をして整えていくことをおすすめします。
さいごに 編集部より AI添削について
中村コーチの考察にも書かれているように、「何本もAI添削をしてきた私ですら、自分の文章をAIツールでチェックすると複数の赤字修正箇所がピックアップされます」とのこと。文章を書いている本人にとっては「分かっている内容」だからこそ、気づけない文章のクセなどがあって当たり前なのです。文章を世の中に公開する前に、自分+他者+AIツールなどの機械チェックの3つの観点から確認をすることをぜひ実行してくださいね。本にしたい原稿がある方は、VM出版スクールでもお待ちしております。
(作成協力:VM出版スクール コーチ中村喜代美/全体編集:VM出版スクール編集部 菅野)
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