こんにちは、VM出版スクールの菅野です。私たちが運営する『VM出版スクール』は、「著者として6ヶ月で自分の本を出す」ためのスクールです。9割以上の受講生が、実際に6ヶ月で自分の本を出して、著者としての人生をスタートしています。本を出すなら、「売れる本」を出したいですよね? この記事では、元マガジンハウス書籍部の副編集長・天田憲明さんが教えてくれた「売れる本」の傾向、ベストセラーになる本の秘密をご紹介します。
※この記事は、2022年1月に開催した天田憲明さんの講義イベントから抜粋して作成しています。
目次
売れる本とはどんなもの?
売れる本で、一番わかりやすいのは『少年ジャンプ』の漫画です。『鬼滅の刃』や『呪術廻戦』とか、出せば次から次へと売れていきます。あとは、「売れる本」を研究したい場合には Amazon のランキングがお勧めです Amazon ランキングは1時間ごとに更新されていますので今のトレンドが一発で分かります。そのほか、Googleで「ベストセラー2021」などのキーワードで検索をすると、取次の大手「日本出版販売(通称:日販)」や影響力のある書店のランキングなどを見ることができます。そこで売れている本の概要をチェックするとよいでしょう。
売れる本:有名人・有名人が出した本
売れる本のカテゴリーとしては、著名人・有名人の本です。分かりやすいところでは、池上彰さん、ホリエモンさん、ひろゆきさん、百田尚樹さん。この方たちの本は出せば必ず売れるので、著者の写真と帯がカバーに出ていることが多いです。
売れる本:有名人・著名人がオススメする本
有名人・著名人がオススメする本も売れます。例えば、オリエンタルラジオの中田敦彦さんのYouTube 大学ではよく色々な本を紹介しています。ビジネス系が多いんですが、ここで紹介されると必ず売れます。本好きで有名な、石田ゆり子さんが紹介する本も売れています。
ある時、『自分の小さな「箱」から脱出する方法』という本が、不思議なくらい一時期に売れたんです。調べたら、ラグビーの五郎丸さんがこの本を愛読書として挙げてから突然に売れ始めたことがわかりました。他にも、80年代の話ですが、小泉今日子さんが「最近読んだ本」として紹介したことで、『ライ麦畑でつかまえて』が爆発的に売れたこともありました。
売れる本:受賞作品やノミネート、映画、ドラマ、アニメ化した本
そのほかには賞です。芥川賞、直木賞、本屋大賞、このミステリーがすごい、などでノミネートされたり受賞した本はやはり売れます。そして書店さんも、そのような賞に関する本は目立つ場所に平積みするので、売れます。それから、映画、ドラマ、アニメ化した本。その関連本、例えば『鬼滅の刃』の塗り絵なども売れました。
売れる本:自己啓発カテゴリー
売れやすいカテゴリーについても紹介します。一つは自己啓発の分野です。(自己啓発カテゴリーの範囲については後述)他には、マネー、ダイエット、健康。あとは英会話、英語学習。
マネー関係でいうと、今は普通に銀行にお金を預けても金利があって無いようなものですので、どうやってお金を増やしたらいいか、株、投資の仕方の本などが割と売れています。
次に、健康関係。これは特にコロナ禍になってから、自分で何とかしなくてはということで病院に行かずに何とかできるような本が売れました。サプリメント事典なども、売れています。
老後に関する本では、リンダ・グラットンの『LIFE SHIFT』はロングセラーです。あとは手軽に料理ができて体にもいいということで、オートミールの料理本が売れたり。カレーやスパイス関係なども売れています。さらに、この自己啓発のカテゴリーは結構、重なってる分野も多いです。ダイエットと健康と料理など。
自己啓発カテゴリーで面白いのは、例えば「話し方を変える」「メモを取る」「ダイエットする」「断捨離する」、などの行為によって自己啓発的なものにつながっていきます。自分が変わるという内容です。単なる「料理の本」ではなくて、この料理をして自分が変わることによって、結果こうなる、というアプローチです。話し方を変えることによって、人と接してコミュニケーションをとりやすくなったことで、自分がこう変わる。ある意味で、ストーリーがつながっているのです。
「自己啓発」カテゴリーとは具体的にどんな範囲?
自己啓発とは、実はけっこうカテゴリーが広いです。書店に行くと、ビジネス書のコーナーに自己啓発コーナーがあって、その中にロングセラーの『7つの習慣』『嫌われる勇気』『メモの魔力』などが並んでいると思います。自己啓発というのは、心理学であったり、極端なところではスピリチュアル系とか宗教系なども含むでしょうし、健康関係など多岐に渡ります。要は「自分がこの本を読むことでどのように変われるか」。このような内容が自己啓発本に含まれます。
wikipediaの「自己啓発」ページの内容が上手にまとまっているので、こちらをもとにご紹介したいと思います。
“自己啓発(じこけいはつ)とは、自己を人間としてより高い段階へ上昇させようとする行為である。「より高い能力」、「より大きい成功」、「より充実した生き方」、「より優れた人格」などの獲得を目指す。他に、自己開発、自己啓蒙、自己変革、自己改革などの表現も使用される。”
※引用:wikipedia「自己啓発」(最終閲覧:2022年4月22日)
wikipediaで挙げられているテーマをいくつか抜粋します。生きがい、生き方、価値観、クオリティ・オブ・ライフ(生活の質)、人生観、人生哲学、人生論人、性格(キャラクター、キャラ)、生活様式(ライフスタイル)、セルフコントロール(克己、自制)動機づけ(モチベーション)、人間関係(対人関係)、夢実現、リーダーシップ、掃除、断捨離、手帳術、心理学、精神医学関連以外の医学関連、など本当に多岐に渡ります。
逆に言うと、なんでもアリなのです。 さらにその関連項目などでは、カウンセリングやマインドコントロール、なかには「カルト」なんて言葉も入っています。会計もあります。それぐらい自己啓発は多様で、何でもアリだと言えます。
面白い傾向としては、単に「仕事の時こうしましょう」「こう生きていきましょう」よりも、行動をすることで自分が変わるという話が多いことです。例えば『メモの魔力』でいえば、メモを取ることによって自分と向き合うことができる。メモを取ると自分が変わる。断捨離なんかも、自分にとって必要なもの、いらないものを選ぶことによって、自分の心を整理する。ダイエットをすることによって、気分がすっきりして自分の性格が変わりました、など。直接的に世間で言うところの自己啓発とは結びついていないけれど、何かをすることによって自己啓発に結びつくという傾向が多いと思います。
今の世の中に合わせて、どう考えるか。どんな切り口にするか。そこが本の企画の面白いところです。
以上
天田さん、興味深いお話をありがとうございました。本を書く方、ブログやSNSで情報発信をしている方、プランニングや編集のお仕事の方、参考になれば嬉しいです。
2022年現在、天田さんが解説する『売れ筋本トレンドニュース』は、どなたでも参加できるオンライン公開講座(無料)として毎月開催しています。コンテンツに関わる皆様と一緒に、最新情報をキャッチしていけたらと思います。ご参加をお待ちしております!
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(記事作成:VM出版スクール マーケティングチーム 菅野)
<解説してくれた天田憲明さんについて>
天田憲明(あまだのりあき)
VM出版スクール マーケティング&セールスチーム
元マガジンハウス副編集長
早稲田大学社会科学部卒
アパレル、出版社を経て、1988年株式会社マガジンハウスに中途入社
書籍編集部(副編集長)、BRUTUS編集部、広告部に在籍
書籍編集部では『幻想神空海』夢枕獏著、『いいひと戦略』岡田斗司夫著、『水木少年とのんのんばあの地獄めぐり』水木しげる作、『自衛隊員が撮った東日本大震災』、『踏むだけダイエット』などを手がける。2021年10月マガジンハウスを定年退職。
趣味:映画、神社仏閣めぐり、食べ歩き、散歩
特技:ロシア軍隊格闘技システマインストラクター
ここ1年間で読んで面白かった本:『進化思想』『テスカトリポカ』『京都力』
<文中に登場した本>
・『鬼滅の刃』吾峠呼世晴、集英社
・『呪術廻戦』芥見下々、集英社
・『自分の小さな「箱」から脱出する方法』アービンジャー インスティチュート (著), 金森 重樹 (著), 冨永 星 (著)、大和書房、2006年
・『ライ麦畑でつかまえて』J.D.サリンジャー (著), 野崎 孝 (翻訳)、白水社、1984年
・『LIFE SHIFT(ライフ・シフト)』リンダ グラットン (著), アンドリュー スコット (著), 池村 千秋 (翻訳)、東洋経済新報社、2016年
・『7つの習慣』スティーブン・R.コヴィー (著), フランクリン・コヴィー・ジャパン (翻訳)、キングベアー出版、初版1996年、完訳版2013年
・『嫌われる勇気』岸見 一郎 (著), 古賀 史健 (著)、ダイヤモンド社、2013年
・『メモの魔力』前田 裕二 (著)幻冬舎、2018年
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